2016年8月17日水曜日

大阪市パノラマ地図検定解説編(2-2)

大正13年発行の「大阪市パノラマ地図」から出題した、大阪市パノラマ地図検定の解説編です。

(第2回 第2問)
下の地図は大阪市パノラマ地図のある部分を拡大したものです。
A 地図の中心の赤丸印の場所には当時何があったでしょうか?(建物名、橋名など)
B 現在はどうなっているでしょうか?
C 江戸時代天保年間には何があったでしょうか?
D 地図の中央上部に「島」とありますが、何という島でしょうか?

  配点は、A、Dは各2点、B、Cは各3点とします。

解答と解説
A 大阪商業会議所
B NTTテレパーク堂島
C 庭瀬、三日月、久留米、桑名、大村の各藩の蔵屋敷
D 堂島。パノラマ地図では大正13年に曽根崎川(蜆川)の東半分が埋め立てられた姿が描かれているが、それ以前は、堂島川と曽根崎川によって囲まれたまさに「島」となっていた。



 大阪市パノラマ地図に商業会議所が描かれているこの辺りはどのように変化してきたのでしょうか。第1問で紹介した地図では、江戸時代には各藩の蔵屋敷があったことがわかりましたが、その後どのように変わってきたのか見てみましょう。
 明治15年の地図には、堂島の西寄りに「五代氏藍製造場」とあり、この地に五代友厚氏が設立した朝陽館があったことがわかります。

明治15(1882)年発行の「改正新版大坂明細全図」の堂島

 明治33年の地図では、朝陽館の敷地には、北半分に商業学校と測候所、南東に商業會議所、南西に商品陳列所、と敷地が分けられています。藍製造所の朝陽館が廃止された跡地に、五代友厚氏が初代会頭を務めた商業会議所が置かれたほか、これも五代氏が関わったと考えられる商業学校や商品陳列所などの公的機関が立地しています。西隣の大学病院の敷地には明治33年には第一高等中学校がありました。

明治33(1900)年発行の「改正新町名入大阪市新地図」の堂島

 明治44年発行の「実地踏測大阪市街全図」をみると、朝陽館の地には、北側に※、南側に「會議」と※と、赤字で知事官舎とあります。「會議」は商業會議所を略したものです。 ※の意味は凡例にもなく不明ですが、商業学校は上福島へ、測候所は西区築港へ、商品陳列所は博物場の地である本町橋詰に移転しました。これらの移転にも明治42年の北の大火による被害が影響しているようです。西隣の第一高等中学校も一部被災し、北野の地へ移転しました。

明治44(1911)年発行の「実地踏測大阪市街全図」の堂島


 大阪市パノラマ地図では、「商業會議所」と書かれた赤レンガの建物と、その手前(西側)には緑の中に白っぽい建物が描かれています。知事官舎でしょうか。また、左側の北半分には、赤レンガの大きな建物と、2階建てくらいの複数の小さい建物が描かれています。
 パノラマ地図と近い時期の地図として、大正14年発行の「大阪市街大地図」を見ると、朝陽館の地は、南側は会議所と知事官舎になっていて明治33年から変化はありません。北側は空白になっていますが、大正10年に中之島の市庁舎が竣工して市役所が移転した後のようです。西隣には、大学病院が立地しています。

大正14(1925)年発行の「大阪市街大地図」の堂島

 昭和10年発行の「最新大大阪市街地図」を見ると、大正14年の第二次市域拡張から10年、大大阪の時代の都市改造が動き始めています。地下鉄の完成。市電「阪急前」の左下に、赤地白抜き文字で「地下鐡」とあります。そのほか、堂ビル、新大阪ホテル、大阪ビル(ダイビル)、大阪帝大など、このエリアだけを見ても、いろんな変化が現れてきたことが分かります。
 商業会議所は「商工會議所」と名称が変更されています。新たに、北側に中央電話局、福島電話局が、南側には中央電信局が誕生しています。当時のニューメディアの拠点がこの地に集約されたようです。現在NTT関連のビルがあるのも、この頃の名残と考えられます。

昭和10(1935)年発行の「最新大大阪市街地図」の堂島

このように、パノラマ地図に商業会議所が描かれている土地の使われ方を定点観測してみると、堂島が大阪のまちづくりに大きな影響を与えてきたことがわかります。詳しくは、こちらに「古地図探偵 五代氏藍製造所「朝陽館」のその後」としてまとめています。
http://sumai-osaka.blogspot.jp/2016/05/blog-post_0.html 

第2回第3問はこちらからどうぞ。≫ http://sumai-osaka.blogspot.jp/2016/08/blog-post_24.html
第2回第1問はこちらからどうぞ。≫ http://sumai-osaka.blogspot.jp/2016/08/blog-post_10.html
第1回第1問はこちらからどうぞ。≫ http://sumai-osaka.blogspot.jp/2016/06/blog-post_1.html

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