2016年6月27日月曜日

今週の今昔館(13) 20160627

〇企画展「船場花嫁物語」は終了しました。
 多くの皆様のご来場ありがとうございました。


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〇次回企画展示のご案内 2016年度 建築設計展
 前期:「設計競技入選作品展『もう一つのまち・もう一つの建築』」
    平成28年7月2日(土)~4日(月)
 後期:「全国大学・高専卒業設計展示会」
    平成28年7月7日(木)~10日(日)
 詳しくはこちらをどうぞ。≫http://konjyakukan.com/korekara.html



〇特別展のご案内 中井大和守の建築指図 ―世界遺産をつくった大工棟梁―
 平成28年7月23日(土)~8月28日(日)
  (会期中は休まず開館いたします。)

 この展覧会では、修理された建築指図を中心に「大工頭中井家建築指図」を一堂に公開し、日本建築の意匠と技術の真髄に迫ります。
 詳しくはこちらをどうぞ。≫http://konjyakukan.com/korekara.html




方広寺大仏殿 重要文化財 中井正知氏・中井正純氏蔵
清水寺絵図(部分) 重要文化財 中井正知氏・中井正純氏蔵 


〇今昔館のあまり知られていない展示(その4)

 前回に続いて、8階近代のフロア「モダン大阪 パノラマ遊覧」の近代都市住宅年表のコーナーをご紹介します。
 15年前の開館当時からずっと展示されている年表ですが、手前に並んでいる冷蔵庫やアイロン、ガスコンロなどのくらしの道具の変遷の方に気をとられて、バックの壁面が年表になっていることに気が付かない方が多いようです。

8階近代のフロアの「近代都市住宅年表」のコーナー
 明治以降から現代までの大阪の住まいと暮らしの歴史を、「都市住宅の変容」を軸に、市街地や郊外居住の変化などの流れも含めて年表にまとめたものです。
 この年表の下の段には各時代の代表的な住宅の立面図が同じスケールで描かれています。
 今回は、終戦後の部分をご紹介します。


城北バス住宅と岸の里試験住宅
 終戦後、迫り来る冬を前にして、住む家が無い戦災者や引揚者への緊急措置として、仮設住宅が建設されるとともに、旧兵舎や寮・学校、バスなども一時しのぎの住宅に転用されました。バス住宅は、木炭バスの廃車体を焼け跡や空き地に置き並べたもので、狭くて劣悪な点では壕舎住宅やバラックと同様でしたが、バス住宅などの転用住宅は大阪市の経営する市営住宅の一つであり、自然発生的に個人が応急的に作ったバラック類とは、性格を異にするものでした。住まいの大阪六景のひとつとして展示されている「城北バス住宅-転用住宅と戦災復興-」は、史実に基づいて制作された模型です。

城北バス住宅平面図・配置図(まちに住まうー大阪都市住宅史)
城北バス住宅-転用住宅と戦災復興-(住まいの大阪六景)

 終戦後、昭和23年に米軍によって撮影された写真です。時計の文字盤のようにバスが並べられている様子が写っています。共同の炊事場・便所の小屋もよくわかります。
昭和23年米軍撮影の航空写真(国土地理院)

 なぜこの場所に応急仮設のバス住宅が建設されたのでしょうか?ヒントはもう一枚の地図です。国土地理院地図に「明治時代の低湿地」があり、明治20年頃の水路や湿地の様子がわかります。水色の部分が淀川大改修以前の淀川の流れです。バス住宅の位置は以前は川の中にあったことがわかります(地図中の+印)。当時の住所は「旭区豊里町」となっていますが、豊里町は淀川北岸の現在の東淀川区にある地名です。淀川大改修によって、新しい川の南岸に飛び地として残され、旭区に編入されましたが、地名は以前の地名が残されたことがわかります。また、現在埋め立てられて阪神高速道路が通っている江野川は排水のために水路として残されたものです。現在の城北公園内にある池や菖蒲園も、旧淀川の川筋であったことが確認できます。さらに、旭区と守口市の境界も旧淀川の川筋によって決まっていることもわかります。

水色が改修前の淀川(地理院地図・明治時代の低湿地)
明治41年・昭和22年・平成7年の地形図、最近の航空写真の城北付近(今昔マップ3)

 膨大な住宅不足の解消に向けて、公営住宅の建設システムの整備が行われつつあるとき、木造量産住宅を直営で行うという企画が立てられていました。その試みとして岸の里試験住宅が昭和23年12月に50戸が建設されました。家族のだんらん空間の重視、家事労働の合理化、床座から椅子座への移行など、住生活の近代化に対応した新しい間取りが採用されました。
岸の里試験住宅外観(まちに住まうー大阪都市住宅史)
岸の里試験住宅平面図(まちに住まうー大阪都市住宅史)


 プレハブ住宅は現代の都市住宅の一典型になっています。多数の消費者に対し短い施工期間で低価格・高品質の住宅を提供することを目的に、部材・仕様が規格化され、部材が大量生産されることによって建設の仕方が合理化・工業化されました。大阪にはプレハブ住宅メーカーが多数集まり、わが国の住宅産業の先進地域となっていました。
ミゼットハウスとセキスイA型

 昭和34(1959)年10月に「ミゼットハウス」が発表されました。プレハブ住宅の原点と呼ばれ、3時間で建つ勉強部屋として、売り方も営業セールスだけでなく、全国27か所のデパートで展示即売されました。建築が「請負」ではなく「商品」になりました。その後、トイレや台所もつけてというような要望に応えて、「スーパーミゼットハウス」、「ダイワハウスA型」と、本格的なプレハブ住宅へと進化していきました。
 「セキスイハウスA型」は、昭和35(1960)年に発表されました。今年(2016年)3月には、1963年に建築された「山崎家及び臼井家別荘(セキスイハウスA型)」が、プレハブ住宅として初めて国(文化庁)の有形文化財(建造物)に登録されることが決定しました。


寝屋川市の文化住宅

 都市への人口集中、宅地価格の上昇などが顕著となる昭和30年代になり、借家需要が高まり、木賃アパートと呼ばれる民間の共同住宅形式の貸家が一般化しました。木造賃貸アパートの略称で、出入り口や便所・洗面所が共通のアパートと、それらが各戸にある文化住宅に区別されます。文化住宅には2階の住戸も入り口だけは1階に設けられ、すべての住戸が直接道路に面している重ね建て形式と、2階の住戸の入り口が2階の外部廊下に面しており、外部階段からアプローチする片廊下形式があります。
 木賃アパートの立地は、利便性が高いにもかかわらず開発の遅れていた大阪市周辺の私鉄沿線に特に集中し、阪急沿線の庄内、京阪沿線の門真・寝屋川などでは、大規模な木賃密集地帯が非常な勢いで形成されました。

東淀川区の建売住宅

 昭和50年代前半には、従来は借家需要者であった中・低所得者や若年者をも対象とした分譲住宅の飛躍的増大がありました。この頃の分譲住宅の典型の一つは、ミニ開発と呼ばれる建売一戸建て住宅です。
 ミニ開発は住宅地の環境水準や住宅の物的水準が低いなど多くの課題を抱える一方で、従来の公共住宅や分譲マンションでは満たすことのできなかった住宅需要を巧みにとらえ、庶民生活のいきいきとした側面を引き出してきたことも見逃すことができません。

ドムール北畠

 ミニ開発が隆盛を極めていたころ、公共住宅においても従来の中高層住宅にとらわれない、低層住宅を含む多様な住宅形式の模索が始められていました。なかでも、オイルショック以降の低層住宅ブームを背景として、タウンハウスと呼ばれる低層集合住宅の開発が盛んに行われ、民間住宅にも波及していきました。
 数少ない大阪市内のタウンハウスの中で、質の高い住環境形成に成功した事例として、昭和57(1982)年に分譲された阿倍野区のドムール北畠をあげることができます。旧藤田男爵ゆかりの地に建設された23戸の高級住宅で、建物の形態や色彩上の配慮、樹木や土地の形質の保存、既存の敷石や石柱の利用、建築協定の締結など、環境保全に意欲的な取り組みがみられます。

都住創内淡路町

 昭和50年代に入っていわゆる需要者参加型集合住宅の建設が活発化してきます。住宅需要者が集まって組合を作り、協同して住宅建設を行うコーポラティブ方式による住宅はその典型です。原則として自由設計であることや実費主義をとっていることに加えて、協同して住宅を取得するというプロセスを通じて入居者相互のコミュニケーションが深まり、入居後の近隣関係や住宅管理を円滑に行いうることなどがこの方式の特色です。
 昭和50(1975)年に松屋町に生まれた都住創(都市住宅を自分たちの手で造る会)は、コーポラティブ住宅づくりを継続的に手がけるとともに、様々な居住関連活動を繰り広げています。


 今回は、近代都市住宅年表の終戦後の部分をご紹介しました。各時代の典型的な住宅の立面図が、年表の下に描かれていることがお分かりいただけたかと思います。解説は、「まちに住まう-大阪都市住宅史」を参考にしました。


〇今週のイベント・ワークショップ

6月27日、29日~7月2日、4日、6~9日
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:11:30、14:30

7月3日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
時 間:13:00~16:00


7月9日(土)
町家衆イベント 「ミニすだれを作ろう」

①13時30分 ②14時30分
当日先着各回10名、参加費200円
*当日10時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆


7月10日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00


町家寄席-落語
江戸時代にタイムスリップ!大坂の町で、落語をきいてみませんか
出演・演目:桂出丸「蛇含草」、桂華紋「仔猫」
14時~15時

町家衆イベント おじゃみ(有料)
古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。作り方をていねいにお教えします。
時 間:14:00~16:00



そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。

大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse

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